回復へのミチ
今日は、携帯電話とインターネットから離れて過ごすことにした。
朝ごはんをもらった後クレパスで絵を描いていたらくらくらして、もう一度横になる。
11頃起きて、トリキモとおだしで炊いたおから、お父さんのカツオのたたきとトマトチーズをいただく。
12時半の電車に乗って、岡山の街に行く。土曜日かつ行楽シーズンなので路面電車が混んでいた。場内アナウンスの方の案内がマイルドで、やさしいねえという声が聞こえる。しろしたでたくさんのひと降りる。わしも降りる。
母の生家が近く、ずいぶん久しぶりにみてみたくなり手元に地図がないのでかなり勘で探す。たしか大きな木がたくさん生えている公園が近いはず。そして川の方にも駅方面にも行き過ぎないはず。しばらく探して発見。コーヒーショップになっていた。今日は休日だったので、外観を観察。元たばこ屋の面影があるのがちょっと嬉しい。近所の公園の間隣に教会があった。こんなに大きい教会なのにそんなに印象に残っていなかった。カトリック教会とあり、それならと入ってみるとオルガニストが練習していてお祈りにきたひとが4〜5人いる。神社やお寺の佇まいも好きだが、中に入って長椅子に座りぼおっとできるのが教会のよいところ。天窓から差す陽といったりきたりするオルガンのフレーズを味わい、しばし佇む。
すぐ近くに、この3月で閉館する市民会館がある。少し前の帰省で伺った際に詳しく解説してくださったスタッフさんを訪ねてみた。明日の式典準備の合間をぬって出てきてくださる。ご無理を言ってすみません、休暇で帰ってきてましてと事情を伝えるとちょっと待っててと裏からなんと式典のチケットを持ってきてくださった。わたしが遠方からきたこと、子どもの頃から親しんだ会館で思いれがいっぱいあることを知っていたため上にかけあってくださったんだそうだ。粋な心遣いと不思議な巡り合わせに胸がいっぱいになる。今日じゃなかったら叶わなかったですよ、よかったですねと別の方に言われ、場所に呼び寄せられたようにも感じた。
お礼を告げて会館をあとにし、すぐ裏手の旭川のほとりに出る。ここは後楽園が近いところ。花見に来た人たちがたくさん散歩している。遊歩道から高低差のある川っぺりに降りて楽器を出して、邪魔にならないよう小さな音で即興のふしやゆったりした童謡を吹いてみた。散歩道のひとたちのお喋り、鳥や魚、遊覧船で手をふるひと、たまに遠くの橋をわたる新幹線。いろいろな気配にまざって「ありゃあなんの楽器?」「ホルンじゃろ」「おれも今度サックスもってこよ」「こんどお姉ちゃんにトランペット譲ってもらおうな」などなど、音を耳にした人たちの声も届き嬉しくなる。ほんとうにたくさんの人たちが横切っていったけれど、交流らしい交流がないのも快い。周りのみなさんとほどよい距離感で小一時間過ごして退散。
禁酒会館の1階の珈琲店でひとやすみしてから駅に戻る。母校の制服を着た子たちがたのしくまぶしく自転車で駆けていく。自由でやさしい旧友たちを思い出した。やつらは元気にしてるのかな。改札前の売店で白ワインの小瓶とハムチーズサンドを買って、電車で揺られながらたまにこっそり飲んで齧って帰路につく。