




20250527
【よろこびの投稿】
海を渡って壽山さんから五篇の扉が届いた。
「扉というモチーフが気になっていて」
こんな話を聞いたのは、大分県日田市は中津江の木正舎だった。壽山さんはふだん家具を作っていらっしゃる。けれど小さなものも作ってみたいとおっしゃる。
こちらとあちらを隔てる扉は、こちらとあちらをつなげる扉でもあり、この世の、わたしたちの輪郭を問うものであるかもしれなかった。当時、疫病騒ぎに浮世が湧いていて、いろんなものを問い直すにはなんというかうってつけでもあった。
日課の絵に口火を切らせ、最初に扉のモチーフの額を注文させていただいてから
その後数年のうちに、あれほど収束が見えないかにおもわれた疫病騒ぎが謎のふしぎな落ち着きをみせ、わたくしはうどんをすすりながら壽山さんに四国にいくあいさつをしていた。
高知の日差しはかなりすごくて、用事があって大分に戻るたび色彩の違いにびっくりする。こちらは植物も建物も空も海もみたことがない彩度と明度を以って網膜を焼く。
高知で暮らすうちあたらしく日課の絵が溜まって、誰かにみてほしくなって、てんてんとしているわたしはこれらに扉があると、解放やジャンプがおもしろく叶うと思い、また木正舎さんにメッセージをした。