
仕事の取材のやりとりのあとに、「これは別件ですが」とはじまる追加のメッセージが届いた。そのひとが長年続けられているという地域の小中学校での朝の読み聞かせボランティアのおさそいであった。
先方はわたくしが音楽家であることはご存知でいて、「いち表現者として児童生徒の前で読んでみるのはきっと楽しいはずです」と文面が締めくくられている。年齢や立場を超え、こうしてわたしのことを思いついてプランを投げてくださる周りの方が星座のようにときどきいて、いつも友情に似た感覚が芽生える。子どものころから人前で文章を読むことが好きだった。九州にいたころは朗読に即興で音をつけたりすることもたまにやっていた。楽しく自分のルーツにタッチできる機会だと思った。
まずは見学からの形で返答し、今日は仕事が休みなので読み聞かせするとしたら何がよいか考えてみる。子どもの前ではインスタントな言葉を選びたくないのであった。わたしの口から出てくる言葉としては、フィクションより随筆が合うかもしれない。先日SNSで知った、秋田の文化施設の機関誌の狩猟者による寄稿がたまらなくよかったので、まずそれを口に出して読んでみる。ことさら美しいと感じるところで涙が出てきて、これで子どもの前に立つのはありえないなと思い、繰り返して読めば初期装備的な身体の反応が外れるだろうと何度かやってみた。
そうこうしていると遠雷のような音がたち、気のせいかなと思っていたら、雨が降ってどんどん雷が鳴りだした。とうとうすぐ近くまでやってきて、すこしおそろしかったけれども、しばし本読み活動と一緒にいてくれた。

